「トイレや浴室、キッチンなど、当社が販売する商材をネットと接続させていく」と三原寛司システム技術研究所所長は語る。国内最大級の住宅設備メーカーであるLIXIL( 瀬戸欣哉社長)は、住宅の基本である安全、安心に快適性を追加するため、IoT化に注力。今年発売した新型HEMSを軸に、周辺機器を含めて、20年までに2万セットの販売目標を掲げている。
同社は、設備をネットワーク接続させるホームオートメーションの実験を行なうため、『U2-Home( ユースクウェアホーム)』(千葉県野田市)を開設。ビッグデータやAIを活用した技術研究を行っている。ドアやトイレなど、屋内外で200個を超えるセンサーを設置し、データを基に、ネットワーク接続で動く試作機の開発を続けている。「使用頻度による住設機器の壊れ方や生活動線など得られたデータを、商品開発へ活かしている。これがあったら便利だな、と思うデータが取れ次第、製品開発事業部やハウスメーカーなどと共にディスカッションを行っている」という。
4月に発売したHEMSの上位製品『LifeAssist』はここでの知見を活かし基本的な『見える化』の機能に加え、住設機器や家電の個別操作を可能とした。例えば「おはよう」とAIスピーカーへ声をかけるとエアコンや照明が付き、窓シャッターが開く。このように言葉やスイッチをトリガーとし、IoT対応製品が一斉に動き出す。「クラウドサーバーの発達やAIスピーカーの登場により、IoT化のハードルが下がった。当社単体ではできなかった家電との連携も、近年はできるようになってきた」。
現在、スマホやスマートスピーカーを通して、セキュリティカメラや、エアコン、照明、テレビ、玄関ドア、窓シャッターを操作することができる。「トイレや浴室でも連携させることを計画している。この連携で、通常通りの暮らしをしているか、倒れていないかなどのデータがわかるため、高齢者の見守りとして使える。他にも、帰宅をトリガーとし、お湯はりすることも構想している」と話す。
安心、安全を届けるIoT宅配ボックスも
10月に発売したIoT対応の宅配ボックスにも、研究データの結果が活かされている。『スマート宅配ポスト』は、社会問題となっている再配達問題解消を目的として商品化された。スマホからボックスの解錠ができ、既に荷物が届けられている場合でも、追加の荷受けが可能となる。このとき付属のカメラとマイクを通して、宅配業者を確認しながら通話することも可能としている。「一度しか荷受けできない宅配ボックスへ、新しい在り方の提案ができれば」。
よりネット販売が浸透しているアメリカでは、不在時には宅配業者が玄関ドアを開け、入り口に荷物を置くサービスが始まっているという。「この方法では不安が残る。住宅設備を販売する会社として、基本的に安心、安全は守られなければならない。同製品の規模を拡大していく。業者が玄関より先に入れないスペースを作ることも考えられるだろう」と宅配ボックスの更なる進化の可能性を述べた。
一見夢のような自動制御を可能にする同社のHEMSの構想であるが、課題がないわけではない。それは利用シーンに応じたパターンを、ユーザーがアプリでそれぞれの機器ごとに設定しなければならない点だ。三原所長は「今後は玄関が開くと自動的に家電が動くような、施主が快適に過ごせる環境を整えていく必要がある。時代に合わせて住設機器の在り方を変えていきたい」とチャレンジングな想いを語っていた。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.47に掲載したものより抜粋しています。
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