「太陽光発電システムで火災が起きる」。出力制御の取り上げ方と同じ様に、またしても表面のみを掬った情報が独り歩きし、消費者にマイナスイメージが蔓延している。既に「訪問販売時に火災事故が起こるようなものは要らないと門前払いされた」や「成約前の案件がペンディングとなっている」、「設置を目前にキャンセルされた」といった声が聞こえてきた。事の発端は消費者安全調査委員会が1月28日に発表した太陽光システムの火災事故に関する調査報告書。08年3月から17年11月までの約9年間で、火災事故として消費者庁の登録を受けた127件とし、このうち7件はパネルまたはケーブルの発火等から野地板への延焼にまで繋がったとする。
しかし振り返って見てほしい。我が国の太陽光システムの累積設置数は、18年10月時点で約237万件にもなる。先の数字を引用するならば、火災事故発生率は0・005%、野地板への延焼に発展した事故は僅か0・0003%に留まる。当然のことながら電気設備であるため家電やその他の設備・機器同様に劣化・破損等による火災リスクはある。こういったリスクは最大限排除すべきであることは言うまでないが、発生率の数値をみれば、太陽光システム自体の火災リスクは極めて低く、単純に太陽光=燃えるイメージが先行するのはいかがなものかといえる。また同報告書の公開を受け、発表した各社のリリースを見てもわかる様に、そもそも延焼する可能性のある設置形態ではないことや、既に対策済み、メンテ・交換対応中であるなどリスク低減に向け動いている。全国地方自治体でも注意喚起を行っており、このほか、会見を開いた太陽光発電協会の増川武昭事務局長は「火災事故の発生を真摯に受け止め再発防止に取り組んでいく」とし、住団連や木住協でも情報提供等の協力に対応していくなど業界を挙げた改善が進められている。
延焼7件 京セラ1/1件、シャープ1/6件 計2件は施工不良
報告書によると、野地板への延焼に繋がった事例7件は全て『鋼板等なし型』の設置形態であった。本誌独自調査で、これら7件のうちシャープ製が6件、京セラ製が1件であることがわかった。ただし京セラ唯一の1件は、施工時のケーブルの挟み込みが原因であり、製品に起因するものでなく施工不良であるとした。さらに同社は再発防止対策として、施工の際にケーブルが損傷しにくいように設計変更を実施するとともに、施工業者に対しても文書・教育による注意喚起を行うなどの対応を行っている。シャープの事例でも6件中1件は、同様の施工不良が原因と推定されている。一方、他の事例では、パネル内への導電異物や水分の侵入、ケーブルの接触不良などケース毎に推定された出火原因は異なるが、既にシャープは18年9月に「太陽電池セルとインターコネクター(セル間の結線部品)のはんだ付けの強度が低下し、原因は特定されていないが、まれに発火に至る可能性がある」という懸念に基づき、無料点検等を告知。03年2月~05年6月までに製造した瓦型パネルを使用しているユーザー745件に対し無料点検と交換対応を、05年7月~06年1月までの同710件ついて無料点検を実施している。
今回の調査は、あくまで原因究明と再発防止のためであり「事故の責任を問うために行うものではない」としているが、一部メディアによる断罪的な表現や偏った情報は消費者並びに業界へ与える影響が大きい。生命に関わる事柄であり、決して軽視することはできないが、これは太陽光システムに限ったことではない。偏見が根付く前に、まさに火消しが急がれる。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.49に掲載したものより抜粋しています。
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