太陽光発電のPPA(Power Pur- chase Agreement)モデルとは、施主が初期投資ゼロで太陽光システムを設置できる代わりに、事業者と電力契約を結ぶという新しい導入スキームである。ネックとなる設置費用を抑えられることから注目されているが、まだまだ認知度は高いとは言えない。そこで同モデルを展開するTRENDE(妹尾賢俊社長)、シェアリングエネルギー(古賀恵美子社長)の2社は9月、 PPAの周知・普及を目的とした次世代エネルギー情報協会を立ち上げた。さらに27日には『太陽光発電による脱炭素社会に向けて~第三者所有モデルによる再エネ促進の可能性~』と題したセミナーを開催。会場となった地球環境パートナーシッププラザ(東京都渋谷区、国連大学敷地内)には、太陽光などのエネルギー関連をはじめ、自治体や金融など同モデルの利用を志向する事業者約30名が参集し、仕組みや将来のビジネス像を共有した。
冒頭、シェアリングエネルギー事業開発室の井口和宏室長が同協会について紹介した。「TRENDEさんとは競合他社となるが、始まったばかりの市場を取り合うのではなく、まずはPPAというスキーム自体の認知度を高める必要があると考え立ち上げた。まだまだ団体という組織ではないが、セミナー等を通して周知を図っていく」と意気込みを語った。TRENDEの妹尾社長も「電力小売は、分散型電源化やAI・ブロックチェーンを活用した新技術の導入など変化の途上にあり、個人的にも期待している」とし、PPAを通じ、次代のインフラに資する分散型電源の普及を目指す意向を示した。
プログラムでは、まず経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課の高城潤課長補佐(法規担当)が、次世代技術を活用した新たなプラットホームの将来像について解説。「持続可能なインフラ整備や、 AI・IoTなどデジタル化の進展が不可避な中、再エネを最大限導入しレジリエンス強化、分散電源化による新たなビジネス基盤を構築していく必要がある」とした。続いて、エネルギー情報センターの江田健二理事がPPAモデルの仕組みについて解説。「投資不要で日々の経済性を向上できるだけでなく、非常時の備えにもなる。また系統からの買電量が減るため、将来的に電力価格上昇の可能性がある中で、リスクを軽減できる」と利用者側のメリットを説明し、続けて「事業者側でも、他の設備や関連サービスと組み合わせるなど発展性があり、ビジネス性を確保しやすい。売電価格の下落により発電事業の収益性が低下する中で、分散電源化を進める一手となる」とPPAが有する強みを説明した。一方で「設備自体は第三者の所有物であるため、自由に交換・処分ができない上に長期契約になる」「様々な企業が独自のプランを用意しており、自分に適したプランを吟味することが難しい」などの課題も挙げた。
また東京都環境局地球環境エネルギー部の神山一 都市エネルギー推進担当課長は、都が実施しているPPAモデル利用促進の補助事業を紹介。9月26日時点で7社が登録、 8社が審査中であり「登録したプランは、専用HPで、料金や補助金の還元方法など消費者が比較できるように一覧で表示している」と取組を語った。 最後にシェアリングエネルギーの古賀社長、 TRENDEの妹尾社長、江田理事の三名でパネルディスカッションを実施。PPAで拡散した太陽光システムを将来的なP2Pのリソースとするなど展望を共有した。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.57に掲載したものより抜粋しています。
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