国内最大級となる3,000社のビルダーに対するネットワークを持つJBN・全国工務店協会(JBN、大野年司会長)。長期優良住宅やZEHなど住宅の省エネについてどのように考えているのか、環境委員会の渡邊泰敏委員長に今後の方針を訊いてみた。
環境委員会ではどのような 活動をされているのですか?
まずJBNでは全国3,000社以上の中小工務店を事務、技術、人材、品質、情報面からサポートし、長期にわたるメンテナンス体制を備えた新築住宅の普及に注力しています。全体で年間3万棟の新築供給規模の団体となります。特に構造躯体の使用継続期間が少なくとも100年程度となる長期優良住宅を推奨しています。定期的なセミナーを通して工務店経営に必要な情報を提供し、会員が地域に必要とされる工務店になることを目指しています。中でも35社で構成される環境委員会はZEHやLCCM住宅、HEAT20などをクリアし大手ハウスメーカーに対抗できるよう、定期的なセミナー開催や環境整備を行っています。地域工務店は、環境に負荷をかけない省エネ、かつお施主様が健康・快適に暮らせる住宅を提供しなければなりません。そのためには高断熱化が欠かせず、高性能断熱材をはじめ断熱窓、断熱ドア等の建材を使って断熱性能を高めた設計施工をすることが大切です。この一環としてZEHやLCCM住宅など住宅のカーボンオフセットを目指しています。
何か特化して取り組んでいるテーマはありますか?
今年度は断熱性能に関係する建材の長期性能をテーマに活動を行っています。断熱性を高める上で、性能表示の見方に注意点があるのではと考えています。「どれくらい長期にわたり断熱等の性能を維持できるか?」との疑問です。太陽光発電とは違い断熱材や窓サッシ、ガラスなどの長期性能はメーカーから発表されておらず、どれだけ経年劣化するのかがわかりません。つまりZEHと定義されている住宅が10年後にもZEHといえる性能を保持している確証はありません。そのため当協会としての目標値は掲げていません。また住宅の躯体寿命が75~90年の長期優良住宅が推奨される時代で、省エネや健康・快適を担保する断熱建材も長期的な観点で捉えていく必要があるのではと考えています。これからの工務店は断熱建材も性能劣化することを理解した上で提案すべきです。周知のため今年は各主要メーカーを講師として9月には窓サッシ・ドア、11月には断熱材、20年1月には透湿防水シートを議題にした講習を行います。9月の講習では窓サッシは定期的なメンテナンスを行うことで30年は担保できるということでした。工務店への周知とあわせて国やメーカーに長期性能に対する関心が高まってきていることを発信する場にしていきたいと考えています。
何故、今年度のテーマを住宅の長期性能としたのでしょうか?
JBNでは長期優良住宅を推奨していますが、雨漏をしている事例も少なくありません。要因の一つとして工務店が性能ばかり追いかけ施工知識の少ない状態で高気密・高断熱化を図ることが挙げられます。昔の住宅は気密材、断熱材がともに導入されていなかったため雨水が入っても乾燥し雨漏りすることはありませんでした。下手に気密や断熱施工をすることで劣化によってできた隙間から雨水が入り込み、高気密なため乾燥せず柱を腐らせてしまいます。家の寿命を縮めてしまわぬよう、正しく施工しなければ劣化が進むこと、長期性能の概念があることを会員各社に発信していきたいです。現在、長期優良住宅を供給する工務店は2万社程度あり、今後JBNは2023年を目処に会員数を、約半数にあたる1万社へ拡大することを目標に掲げています。環境委員会はこの目標を達成し高性能住宅を普及させるため、 JBNだからこそ開催できる高性能住宅についての講習会の開催を続けていきます。
※本記事は月刊スマートハウス別冊 『ZEH MASTER 2019』 に掲載したものより抜粋しています。
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