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【ZEH設計の基礎】定義・仕様から3大メリットまで

ZEH・LCCM 特集・連載 2019/11/01 18:00

 ZEHシリーズの追加や一部定義変更など2019年にはいくつかのマイナーチェンジが行われた。本項では改めて設計の基礎から標準的な仕様、「経済性、健康・快適、防災」といった3大メリットを概観した上で、応用編となる究極の省CO2住宅にも焦点を当てる。

【目次】
ZEHの定義と仕様をおさら︎い
ZEHの定義一部改定 エネファームが創エネ反映可能に
H30年度補助事業におけるZEH仕様の傾向
健康・快適で防災・減災、ちょっとお得なZEHの3大メリット

ZEHの定義と仕様をおさらい

 はじめに標準的な「ZEH」だけでなく自家消費時代を見越した上位版「ZEH+」、さらにはレジリエンス強化策として新たに追加された「ZEH+R」などの全7シリーズを総覧する。

防災・減災対策で増えたZEH+R全7シリーズに

 周知の通りZEH(通称:ゼッチ)とは「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」(経済産業省『ZEHロードマップとりまとめ』2015年12月公表)と定義される。その要件は次頁に纏めた通り地域区分毎に定められた外皮基準UA値〔1・2地域:≦0.40、3地域:≦0.50、4〜7地域:≦0.60〕を満たした上で、再エネを除き基準一次エネルギー消費量:20%以上削減、再エネを含め同100%以上となるものである。ZEH化に要する仕様は木造2階建(延床面積約120㎡)、4LDKをモデルにした場合、「UA値0.28〜0.56の躯体性能に、エアコン(い)+第一(三)種換気+エコキュート+全室LED+太陽光発電システム3〜6kW程度でZEH化」(日本建材・住宅設備産業協会『ZEHのつくり方』)となる。コスト面に関しては一般住宅と比べ設備・断熱サッシ等のイニシャルで概ね300〜400万円UP(うち太陽光発電と高断熱化でそれぞれ3〜4割を占める)となってしまうが、施主にとって「光熱費削減」「高断熱化による健康増進」「エネルギー自立化による防災・減災対策」など多くのメリットを享受することができる。といっても、やはりお高くはなるため、求められるコストダウンについては後編でまとめている通り、太陽光発電の第三者保有モデルやZEHパッケージの活用といった方法が打ち出され業界をあげた対策が動き始めている。種類は年を追うごとに拡充され現在、全7シリーズとなっている。17年までは「地域毎に定めた外皮性能をクリアし、再エネ除く基準一次エネ削減量20%以上及び再エネ含む同100%以上をZEH」「同75%以上に達するものをNearly ZEH」の2つとしてきた。一方、全国的な浸透が進むなか各種課題が散見され経産省WGが要因を分析。これらを集約した『新・ZEHロードマップ』(2018年5月公表)では全5シリーズとなった。寒冷地・低日射地域には『Nearly ZEH』、都市狭小地限定ではあるが太陽光搭載無しのゼロエネ指向型『ZEH Oriented(ゼッチ・オリエンテッド)』が「広義のZEH」として認められるようになった。また、国の再エネ政策と整合したビジョンとして将来的な自家消費時代を見越した上位モデルが『ZEH+(ゼッチ・プラス)』である。これは再エネを除き25%以上の基準一次エネ消費量を削減した上で①外皮性能のさらなる強化、②高度エネマネ、③電気自動車を活用した自家消費の拡大という3要素のうち2つ以上を採用するというもの。加えて18年に生じた大規模災害を受け、政府は防災・減災に関する臨時・特別の予算を設けレジリエンス強化のための支援策を講じた。『ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを活用したレジリエンス強化事業』である。ここからZEHシリーズの中でもZEH+(Nearly ZEH+含む)を活用して、停電時の家庭におけるレジリエンス強化を促進する『ZEH+R(ゼッチ・プラス・アール)』が追加された。要件はZEH+の定義を満たした上で停電時に使用可能なコンセントを3ヶ所以上設置(必須)、蓄電システム、太陽熱利用システムのいずれか又は両方を導入する事としている。

ZEHの定義一部改定エネファーム発電が創エネ反映可能に

 創エネに関しては再エネしか認められてこなかったZEH。定義の一部改定ではエネファーム発電が反映可能であることや外皮基準がUA値に一本化されるなどの変更が行われた。経済産業省は19年2月14日、このZEHの定義を一部改定した。設計に関わる変更点は大きく2つ。①再生可能エネルギー以外の設備で創ったエネルギーでも省エネ設計に反映できるようにしたこと、②外皮基準について『相当』という表記を削除し、UA値に一本化したことである。それぞれの詳細は下表の通りである。

ダブル発電時のエネファーム売電解禁が背景

 これまでの定義では、ZEHとは『省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅』とし、創エネについては再エネしか認めていなかったが、今回の改定で、批判もあるが、再生可能エネルギーの後ろに「等」という一文字を追記することで、再エネに限らず、エネルギーを生み出す設備をZEHに使用できるものとした。とは言え、ゼロエネを目指す上で利用できるのは、発電と給湯を同時に行う、エネルギー効率の高いエネファームぐらいであろう。一般的な発電機では、発電効率の関係上、省エネにならないためである。では、なぜ今回、この様な定義改定に至ったのか。ダブル発電時のエネファームの売電解禁が背景にあるが、順を追って説明していきたい。まずエネファームにはPEFCとSOFCという2タイプが存在する。前者は給湯需要に合わせて発電、後者は常に発電し続ける仕様となっている。常時発電するSOFCでは、当然、余剰電力が発生する可能性があるわけだが、エネファームのみの単独設置であれば、余剰電力を売電(逆潮流)することができる※。しかし太陽光発電と併設するダブル発電の場合には、エネファームの逆潮流は禁止されている。これはエネファームの電力が再エネ由来ではない、つまりFIT制度の買取対象外であるため。ダブル発電時にエネファームの逆潮流も許可した場合、太陽光発電の電力とエネファームの電力が混ざってしまい、FIT対象外の電力も買い取ってしまうことになることから禁止としていた。故にSOFCでは夜間など太陽光発電が稼働しない時間帯でも余剰電力が発生しない様に出力を抑えて運転している。FITの制度変更により、今後、ダブル発電となる際には、『差分計量』という新たな計量法を採用できる様になる。上図の通り、太陽光発電とエネファームの余剰電力を別々に計測できるため、ダブル発電でも逆潮流が可能となるわけだ。ZEHでは、必ず太陽光発電が搭載されるため、特にSOFCはこれまで実力を最大限に発揮できていなかった。このほどの逆潮流解禁と定義改定によって、本来の効率を設計に反映できるものとなる。経産省ではエネファームの余剰売電分のエネルギーを加味すると年間8.2GJ分の創エネ効果になると試算している。太陽光発電の容量に換算すると約0.8kWとなり、狭小地などゼロエネ達成に必要な容量を載せられないケースにも有効となる。一方外皮基準については、これまでq値からの換算でUA値を算出する(=相当)方法も許可していたが「UA値が業界に浸透してきたため」(資源エネ庁省エネ課)、『相当』の表記を削除しUA値に一本化することとなった。『等』の追加、『相当』の削除と僅かな表記の変更であるが、実際の省エネ設計には大きく関わってくる。全社的に把握しておいた方が良いだろう。

H30年度補助事業におけるZEH仕様の傾向

 標準的な仕様を読み解く。H 30年度ZEH補助事業の調査結果では仕様の規格化が進み「断熱高め、太陽光ほどよく」という傾向がみられた。

健康・快適で防災・減災、ちょっとお得なZEHの3大メリット

 CO2削減という社会的背景から推進されているZEHだが、もちろん住まい手にも様々な恩恵がある。ZEHが持つ快適&健康・経済性・防災力の3大メリットを纏めた。

※本記事は月刊スマートハウス別冊 『ZEH MASTER 2019』 に掲載したものより抜粋しています。

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