年間8棟ペースで供給し、約1/3でZEHを達成しているキララホーム(淺野裕史社長)は、驚くべきことに「住まいづくりの話を進める中でZEHというワードは一切出さない」(淺野社長)という。一体、どの様なスタンスでZEHに取り組んでいるのか。
「エゴは押し付けない。条件に適した設計が最優先」
学校など公共施設の建設を中心に手掛ける杉本組が住宅事業部を分社化し、05年に設立した同社は当初、いわゆる在来住宅を手掛けていた。しかし淺野社長は「三重県は6地域でありながら、寒冷地レベルの気候となるエリアもある。このためヒートショックの発生率が高く、全国ワースト3に入るという統計もあることから、まずは躯体性能の強化に取り組んだ。さらに取引のあるパナソニックさんの支援を受け、構造計算の見直しや省エネ性向上などより良い住まいとなる要素を積極的に取り入れた」と振り返る。
今では外皮性能は標準的にZEH水準をクリア。さらに先述の寒いエリアには寒冷地レベルの仕様まで高めることもあるほか、内装材には透湿抵抗値の高い製品を採用し、湿気の壁内侵入を考慮するなど部材一つひとつまで最良を追求している。
そんな同社が手掛ける住まいの大きなコンセプトは、日射取得・遮蔽を主としたパッシブデザイン。淺野社長は「機器に依存した住宅は、故障した途端に快適性が損なわれてしまう。また利用する機器が多いほど導入・維持費を要する。基本的に機器に頼らず、持続的に快適な暮らしを提供できるパッシブデザインをベースとしている」と語る。
故に同社が提供するのはあくまで健康・快適な躯体まで。ただ性能は先の通りZEH水準をクリアしているため、施主が太陽光発電システムの導入を望めばZEHになるという。「住まいの提案において配慮している点は、作り手側のエゴを押し付けないこと。無論、ZEHという考え方自体は賛同しているが、家族構成や生活スタイル、建設地などの要素から最適な設計を施すことが最優先であり、能動的な提案は行わない」と信念を語る。
パッシブとアクティブの融合を志向
機器に頼らないパッシブデザインをベースとする同社だが「もちろん機器を否定しているわけではない。快適な躯体に加え、各種高機能設備を駆使することで、よりブラッシュアップされた住まいが実現できると思っている」と話す。事実、同社は次なる要素として、全館空調の活用を視野に入れている。今回取材したモデルハウスでは、全館空調と全熱交換換気システムを導入。
「常に新鮮な空気が循環しているため、窓を開けて換気する必要がない。故に当モデルハウスでは網戸を一切使用せず、生活感を取り払ったデザインを実現できた。また設備一台で家中の温熱環境を管理できる点も理に適っている」と評価する。さらに暖気は床下にも流れており、冬場の不快感を取り払うほか、各所に配置した給気口により全室均一な温度環境を保つことができ、ヒートショック軽減にも繋がる。
パッシブとアクティブの融合を志向する同社は今後どのような住まいをカタチ作るのか。これからが楽しみでならない。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.47に掲載したものより抜粋しています。
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