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スマートハウス研究の第一人者に訊く、ヒトと住宅が対話する 近未来の世界とは?

AI・IoT 有識者 2019/05/12 17:00

 スマートハウス研究の第一人者はAI・IoT・HEMSが普及することで実現する近未来の姿を如何に眺めているのか。神奈川工科大学の一色正男教授に今後の方向性について訊いてみた。

まずはHEMS市場について、 どのように分析されていますか。

 大手ハウスメーカーだけでなく中小ビルダー、建材系、流通など含め住宅市場全体でHEMSの活用が本格化してきた。ZEH推進の中で技術を取り入れ、少しでも省エネしようという機運が高まっている。一般の方々が親しみやすくなるインターフェースも生まれ始めている。今はまだパーツが出揃ってきている状況だが繋がっていく機器やサービスは増えていく。一方で現状の普及率は漸く1%へ到達したに過ぎない。標準化していくには10から15%と普及曲線に乗らなければならないだろう。とはいえ嘗て実現不可能、非現実的と考えられてきた世界観も今や現実のものとなりつつある。例えばスマートスピーカーの登場により機器との会話でコトが成立するようになってきた。技術先行ではあるが浸透していけば便利であることから必ず一般化していくだろう。家が「電気使い過ぎですよ」と言ってくれるような時代になってきた。身近な存在としてどんどん進化していく。すると相乗的に「面白い」「使ってみるか」となり更に拡大していく。

機能面に関してはエネマネという 印象が強くAI・IoT分野と分かれているのでは。

 エネルギー制御とAI・IoTという分野に明確な区別が必要であるとは考えていない。確かに省エネという機能は基盤であるため家電制御のように目立たない。一見すると分かれてみえるのは事実だ。他方で次世代通信システムと呼ばれる5Gが普及してくると「天気が悪くなったので太陽光の発電が弱くなります。蓄電モードに切り替えましょう」「天気が晴れたので太陽光発電を使います」「電気が余ったので売電してみては?」といったリアルタイムを伴った対話にシフトしていく。そうなれば両者はグッと近くなり融合していく。あと数年もすれば電力制度も変化しダイナミックプライシング等とも連動してくるだろう。まだ少し先の議論かもしれないが5Gが普及したときに何が変わり、どのような世界になっていくのかという研究は既に始まっている。

なるほど。融合していく訳ですね。 今後重要となってくる技術は 何かありますか。

 音声操作に加えモーション、センサーが複合していくと考えられる。特に映像情報は大きなテーマ。例えば食材を並べて机に置くと記録され、冷蔵庫に入れると何がどこに入っているかが判るといった具合に近未来型の管理はカメラ利用が主流になってくるのではないかと考えている。また今後は、ある動作に対してもう一段階進んだ文脈を解析する技術が求められてくる。例えば現在は「コンロがついた」という情報は得られるが、この「ONになった」という状況は「誰かがそこに居る」というフラッグになる。これらを認識するモノを『意味センサー』と呼んでいるが、何らかの動作に対しヒトが認知するような情報に置き換えられると各機器が相互に対話をはじめ、生活に直結する、豊かな環境を作りうる機器達に変化していく。無論、どのようにデータとして創出し解析・利用していくか。ルール作りが必要な領域ではあるがスマートハウスの進化には重要な要素だと考えている。ただ、最も大切なことはそれぞれが夢を持つこと。家の擬人化だけでなく映画や小説で描かれるような未来を描き、想像される世界へと歩んでいかなければならない。

未来を描いていく。大切なことですね。 ありがとうございました。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.52に掲載したものより抜粋しています。

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