太陽光発電システムのアッセンブリメーカーで、太陽光パネルのリユースや電力事業など多角的にエネルギー事業を展開するネクストエナジー・アンド・リソース(伊藤敦社長)は12月3日、浅草橋ヒューリックホール(東京都台東区)で『IoTと電力改革で変わる経済と社会』と題したシンポジウムを開催した。エネルギーやIoT関連の業界人だけでなく、研究機関や一般消費者など約270名が参加した。
プログラムのトップは、元東京電力社員で、その知見から系統運用を踏まえた環境・エネルギー政策への提言活動などを行う国際環境経済研究所の竹内純子理事・主席研究員が、エネルギーの在り方に変革を促す5つの要素を提示。人口減少・過疎化(Depopulation)、脱炭素化(Decarbonization)、分散化(Decentralization)、制度改革(Deregulation)、デジタル化(Digitalization)の『5つのD』を挙げた。人口減や過疎化に伴う電力需要の減少、これに伴う系統運用費の採算性悪化、さらに脱炭素化によって再エネを活用した分散化電源の必要性が増すと説明する。
しかし「再エネはkWh(電力)だけしか生み出せない。系統の安定性確保には必要なときに必ず発電できるkW(容量)と、細かな需給調整を行える⊿kW(調整力)が必須」と解説し「蓄電池など系統安定化に資するリソースの価値向上を図る必要がある。電力は自由化されたものの、現在取引されているのはkWhのみ。kWや⊿kWにも価値を付帯する様な新たな市場・仕組みを創設するなど自由化を改革していかなければ、安定的で効率的な次世代の電力システムを構築できない」と提言した。
次に環境試験装置メーカー、エスペック(石田雅昭社長)の佐藤登上席顧問が、分散化の中核を担う蓄電システムの市況や課題を詳解。中でもコスト低減について、使用環境が過酷な車載用は、全てのアプリケーションに展開可能であることから「車載向けの発展が極めて重要」とし「13年よりBMWのEV向けなど車載用で実績を有するサムスンSDIでは、工場の稼働率を上げるために、EV用の電池を家庭用にも供給している。車載向けのスケールメリットで定置式も市場価格を低減でき、将来的に1.5万円/kWhの実現は現実味を帯びてきた」と説明した。
最後に登壇したネクストエナジー・アンド・リソースの伊藤社長は、先の『5つのD』のうち、過疎化・分散化を深掘し「過疎地では系統維持費の面から送配電側も太陽光と蓄電池を活用した分散化に動き出すはず。極端な話、電線が無い区画なども有り得る」と予測した。最後に太陽光プレイヤーとして「系統網の逼迫などFITを利用した再エネ事業は厳しい状況だが、今や火力発電と肩を並べるまで成長した太陽光は、次なる電力システムの構築に欠かせない電源となっている。FITに頼らずとも需要はある。つまりまだまだこれから」と業界を鼓舞し締め括った。
その後は同社が実証を進めるIoT機器の群制御における高速反応技術の成果報告や登壇者3名のパネルディスカッションが行われた。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.47に掲載したものより抜粋しています。
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