2018年度にG1・G2グレードの高断熱住宅を最も建築したヤマト住建(中川泰社長)。高断熱住宅にすることでどんなメリットをもたらすのか。同住宅供給にこだわる理由を訊いてみた。
今回、年間施工実績最多賞を受賞したヤマト住建だが、同社は兵庫県神戸市に本社を構え、関西、関東、東海を中心に年間約700棟の供給規模で拡大を続ける有力注文住宅メーカーである。2018年度のG1・G2グレード適合住宅の年間施工実績は実に318棟(G1:191棟、G2:127棟)に上り、2年連続の施工実績最多を獲得する結果となった。このほかにも同社は、省エネ住宅のトップランナーを選定する表彰制度『ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー』において、2009年の初参加以降9期連続の受賞を続けているほか、高断熱住宅として括られるZEHについても、18年度実績は76%と高いレベルで推移し、ZEHビルダー5つ星の最高ランクの評価を取得。直近では78%まで比率が高まっており、 2020年には年間1000棟、80%以上を目指すなど、更なる拡販に注力しているところだ。

そんな同社が高断熱住宅に着手したのは2007年頃から。中川社長は「当時、まだまだアルミサッシのペアガラスが主流であったが、いち早く樹脂サッシに着目し、合わせて外張り断熱工法も取り入れるなど、断熱性能にこだわった住宅提案へと舵を切った」と振り返る。その後も断熱性能向上への取り組みに余念がなく、いまや内・外ダブル断熱工法、樹脂トリプルガラスが標準的に採用され、結果、G1・G2グレード住宅の最多施工を誇るレベルに達するようになっている。
こうした高断熱化によって何が向上するのか。メリットは大きく二つ。HEAT20も従来から提唱している、省エネ・光熱費等の削減をもたらすエナジー・ベネフィット(EB)と、健康改善や快適性をもたらすノン・エナジー・ベネフィット(NEB)だ。同社では高断熱住宅で、住居全体を均一な温度に保つことができる全館空調を推奨しているが「断熱性能を高めるほど、たった1台のルームエアコンで全館暖冷房を効率よく実現することができ、無論、暖冷房費用のランニングコストも抑えられる。また、単純に15年周期のエアコン買い替えまで考慮したとき、間欠暖冷房で部屋ごとに計3~4台必要な住宅と比べると大きな差額が生まれることになる。数十万円の高断熱化によるコストアップ分を加味しても十分なベネフィットが生まれる」と話す。加えて、高断熱化をつきつめると、余計なエネルギーを使わずに済むようになるため、ZEHやLCCM住宅などを設計する際には、太陽光発電の容量を極力減らすこともできる。「温暖地において、太陽光発電3kW強でZEH、 8kWでLCCM住宅を達成するようなケースもある。地域によっては狭小地に建築しなければならない場合があるが、断熱性能を高めていることで、ZEH、LCCMの達成が可能となり提案の幅を広げることができる」とし、同住宅の比率を伸ばしている。
一方のNEBについても、高断熱住宅がヒートショックの防止は言うまでもなく、風邪や冷え性、アトピー性皮膚炎などのアレルギーの改善にも効果があることが、各種の研究で明らかになっている。健康を維持することで結果的に医療費を削減することにもつながるといった試算もある。「高断熱住宅に取り組むことは、EB、NEBの観点から施主の満足度に直結することは勿論、ひいては棟単価・客単価 アップ、集客率アップ、ブランドの構築等にも繋がってくる。更なる高断熱住宅の普及につとめていきたい」と、意欲的な姿勢を見せていた。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.54に掲載したものより抜粋しています。
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