愛知県岡崎市を中心に年間30棟規模を供給し、今期は前期比倍増の完工棟数ペースで約20億円となるスタートを切ったZEHビルダー、ユートピア建設(山口雅弘社長)は、エネルギー自給率100%を実現し、健康・快適でレジリエンス性も考慮した高性能住宅『U-Smart2020』を推奨している。昨年9月にモデルハウスを完成させ、同時に同住宅の構法やノウハウ等を提供するVC展開をスタート。すでに全国の先進的ビルダー・工務店20社以上がVCに加盟し、山口社長は「2020年までに100社を目指す」と意気込む。性能は勿論、暮らしてからのランニングコストにもこだわる同住宅に迫った。
南海トラフ大地震への備えが必要不可欠な同県だが、まずは地震に強い家づくりがベースとなる。小さな地震でも、壁の内部では破壊が進むとされる中、同社では3㎜の小さな揺れからも反応する制震ダンパーを標準採用。モデルハウス横には地震体験装置を設置し、震度1~3及び制震ダンパーの効果を体感でき、高い制耐震性能を訴求している。また、軒の庇を約1.2m突き出し、日射をコントロールするパッシブ設計としながら、左右に張り出す袖壁は、延焼防止や台風等の強風から守るなど工夫も施している。このほか、感震ブレーカーを設置し復電火災も考慮した仕様となっている。
壁・天井は吹付硬質ウレタンフォーム、基礎は押出法ポリスチレンフォームを全面に敷きつめ、樹脂トリプル窓、木質系断熱玄関ドアを採用。UA値0.45W/㎡・KとHEAT20 G2グレードの断熱性能を達成している。床から吹き抜けの二階天井まで温度ムラが無く、家中が一定の室温を保ち、ヒートショックを防ぐなど健康で快適な空間を実現している。更に、熱交換した空気をダクトレスで圧送する気圧調整型第一種全熱交換換気システムを導入。家中が外の気圧よりも高い「正圧」の状態を維持し、花粉やPM2.5、暖気・冷気の直接流入を防ぎつつ、熱交換されたキレイな空気で室温を一定に維持する。「通常のダクト型システムの10倍の空気を循環させるので、住宅に入る空気量が多く、出ていく量が少ないので、まるで酸素カプセルの中で暮らしているような状態」と表現する。
同住宅の最大のポイントとなるエネルギーについては“停電しない・電気を買わない・自給自足できる暮らし”をコンセプトに、太陽光発電12.2kWとAI搭載の蓄電池9.8kWhを導入し、モデルハウスでは停電体験も可能だ。「実際に停電が起こっても、家中の照明やエアコン、IH調理器などが使用可能で、入浴もできる。これら全て日中に蓄えた太陽光発電の電気によって稼働し、普段通りの生活ができる。屋外には非常用コンセントを設置し、蓄電している電気を近所にシェアできる仕様にもなっている」と説明した。
無論、常時は経済性の高い自給自足の生活を実現しているわけだが、そのキーとなるのがAIだ。天気予報と各家庭の電力消費量を予測し、翌日使用する電力を最適化することができる。これにより、同社試算では、4人家族の消費電力を約400kWh/月と想定し、1日45kWhの発電のうち、日照時は太陽光発電で自家消費電力5kWh、夜間は蓄電池で同8kWhを賄い、残りを売電した場合「20年間で約830万円、35年間で約1400万円の経済効果を生み出す」とする。ランニングコストを考慮したエネルギー自給率100%の住宅として提案している。様々な要素が詰まった『U-Smart 2020』だが「VPPやP2Pまで見据えた設計となっており、各地域でのスマートシティ構築を視野に入れている。今はその種まき。普及に尽力していきたい」と、今後の展開からも目が離せない。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.51に掲載したものより抜粋しています。
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