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住宅会社ができる社会貢献、ZEH作りは未来の子どもたちのために

ZEH・LCCM インタビュー 2018/11/01 18:00

 福岡のビルダー、エコワークス代表取締役を務めながらも、経済産業省「ZEHロードマップ委員会」委員や、環境省「クールチョイス省エネ住宅WG」委員など、主に住宅における環境政策に携わり精力的に活動してきた小山貴史氏。昨年の6月にはZEH施策を後押しすべく、中小のビルダーへのZEH提案や課題解決、サポートを行う「一般社団法人ZEH推進協議会(以下、ZEH協)」を立ち上げた。18年10月現在、協議会の会員数は、ビルダーで構成される一般会員が約200社、ZEHに纏わる機器メーカーや商社ら賛助会員約50社が会員となっている。この他、建産協や評価協だけでなく、地方自治体をはじめ協力会員も増えている。ZEH協代表となった小山氏は、ビルダーの一社長でありながら、自社の知見などを公に公開し、またZEH達成に課題のあるビルダーのために研究を重ね、分析やセミナー登壇に汗をかかぬ日はない。日夜ZEHの普及活動に勤しみ、誰よりも熱心に取り組んでいると言える。そんな同氏にZEHの普及現状と課題について訊いた。

2020年以降、施主がZEHを求める時代に

「国は未来の子供たちのために、 ZEHが普及する社会を次の世代にバトンタッチしなければならないという観点から、ZEH施策を進めている。これをビルダーがどう受け止めるか? 十分に理解する必要がある」。 国が補助金やZEHビルダー評価制度など、様々な形でZEHについてのインセンティブを作っているが、この手厚い支援について、まず、背景を把握することが重要であるという。「ZEHは、買い手(施主)、売り手(住宅事業者)、世間(国、未来の子どもたち)の〝三方良し″であり、住宅業界が社会造りに貢献できる貴重なチャンスでもある。一丸となって挑まなければならない」。確かに、ビジネスというものは、どうしても売り手目線と成りがちであり、社会貢献を業界全体で謳える機会は少ない。これからのビルダー経営の継続と、新たな住宅作りを後世に伝えていく上でZEHを重要なステップと位置付ける。しかしながら、ZEHビルダー評価制度など確立されるも、まだまだ、ZEH実績は少なく、5つ星ビルダー自体も400社に満たず、満足のいく報告結果とは言えない。この問題について、「大きな普及エンジンとして、国は評価制度を始めたわけだが、今後、積極的に国民に対してPRしていく方向となるから心配はない。普及啓発活動の後、よくよくメリットがあることが施主に理解され始めれば一気に普及するはず」。
 イノベーター理論を用いれば、流行に敏感であるアーリーアダプターから慎重派であるが比較的早くに新しいものを導入するアーリーマジョリティへと普及過程を経るが、現在はこれら中間期にあたると小山代表はみる。まさに、一般の方々に『家は高断熱が健康に良い』、『電気は家で作った方がお得』ということが常識になる端境期であるというのだ。「消費者にとって健康性と経済性がZEHのメリットであることが、 2019~20年頃にかけて一般常識になる。2020年、ZEHの実績があるビルダーは5割に達するだろう。同年、省エネ基準の適合義務化もあり、一層消費者に認識が高まってくる。いずれ、消費者からビルダーにZEHを求めるようになる。 2020年問題とも言えるが、BELS、発送電分離、省エネ基準の適合義務化、ZEH星5ビルダーの一層の台頭、アフターFITにおける自家消費メリット活用の普及といったことが、世論により顕わになってくる」。ZEH協では、ZEHは新築注文戸建住宅において、18年推定29万戸に対して20~25%、2020年には同25万戸に対して50%と見込む。今はZEHの提案が必要な時期であるが、リテラシーが向上すれば消費者が主導で「ZEHを建てたい」と言うようになり、ZEHで家を建てたいという人は数年の内に半数を超えてくるという。「消費者の判断材料となる施策や課題が2020年を皮切りに次々とでてくる。その時、施主が必要とするビルダーで在り続けられるか?急速にZEH化が進んでから判断するのでは遅い。今、ビルダー経営においても重要な過渡期に来ている」とした。

ZEHを実践するために

 小山代表にZEHが出来る住宅会社になるために必要な順序を大雑把に訊いてみた。①国交省の住宅省エネルギー技術講習会へ参加する。技術者だけでなく、経営者も参加。そこで、気密・断熱について、計算や施工を学ぶ。②ZEHの自社仕様づくり。自社ZEHについて、建産協の「ZEHのつくり方」テキストを参考に設備メーカーや建材店と相談する。③太陽光発電システムについて、長期経済メリットを適切に説明できる社員教育をする。これらを踏まえ「まずは、経営サイドが会社としてZEHを進めていくことについて、社内で合意形成することが最も大事になる。その裏付けや方法については、ZEH協では全力でサポートしている」とした。ビルダーはまだまだZEHのユーザーメリットの認識が薄いのが現状だ。しっかりと、施主にとってプラスになる部分を説明出来ているか?が重要なポイントとなる。「お客さんの経済性を考えて、家づくりをしているのか?勘違いしないで欲しいのが、ZEHを建てることは、何より『施主ファースト』であり、さらに『未来の子どもたちのためになる活動』ということ。ビルダーの便益は最後についてくる。これは求めても求めなくても良いが、健全な経営もお施主様の大事な家を守るために必要になる。経済性を伴った環境性の高い家づくり、それがZEHであり、三方良しであることを皆さんにお伝えしたい」。

新たな価値として見出された レジリエンス性

 世界的にエネルギーの利用については、大きく見直しがなされる中で、我が国においても、電気の地産地消は重要な課題となる。加えて、ZEHは太陽光発電のエネルギーを利用するため、災害に強い点でもその強みが発揮される。「18年9月の北海道の震災による大停電が示したように、万が一、首都直下型や南海トラフの大震災が発生したら、大手の電力会社も易々と復旧できるとは言い切れない。大規模な災害の場合、電力だけでなく様々な支援が滞る可能性がある。住宅のレジリエンス性は高める必要があり、この点がZEHは非常に強い」。減災の観点で、ZEHが当たり前となれば、我が家が避難所ということにもなり得るという。これは新たな切り口であり、今後は、この強みも強調しながらZEHについての普及を推し進める方針だ。

無料メルマガ会員もスタート

 ZEH協では、ZEHの普及促進に向け様々な活動を行っている。 ZEHロードマップフォローアップ委員会、クールチョイス省エネ住宅WG等においてビルダー目線でのZEH普及に向けての課題や提案や情報発信を行っているほか、昨年から、シンポジウムも複数回行っており、7月の「設立記念シンポジウム」の他に、今年は「平成30年度ZEH施策説明会」、「新・ZEHロードマップシンポジウム」を開催した。いずれも、定員300名の会場が満席となった。さらに、ビルダーのためのZEHセミナーも開催。仙台を皮切りに、東京、名古屋、大阪、広島、福岡と周り、一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会のご助力を得て、「ZEH50%必達セミナー」と題して、基礎から目標に向けた営業ヒントを余すことなく公開している。今年度は、自治体主催の建築事業者向けZEHセミナーも開催中で、青森、高知、福岡、北九州、熊本において実施した。2018年11月からは「無料メルマガ会員」の新規募集も開始した。経産省や環境省、国交省からのZEHやLCCM関連の施策、協議会のセミナー情報をタイムリーに届ける。「メルマガによりZEH情報を最新で取得し、よりレベルの高いビルダーが国とともに、未来の子どもたちのための家づくりを行えるよう尽力したい」とした。

※本記事は月刊スマートハウス別冊 『ZEH MASTER 2018』 に掲載したものより抜粋しています。

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