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国民生活センター:貯湯式給湯機の設置実態調査、転倒防止義務化後でも10%に施工不備

 国民生活センターは6月7日、エコキュートや電気温水器の転倒に関して、ユーザーの意識調査や設置状況の実態調査、さらに施工不備を想定した振動試験の結果を公開した。ユーザーの半数が「地震で倒れると思わない」と認識している中、今回の調査では規定の施工水準に達しているものは100件中約30%しかないという状況であった。施工不備は転倒防止義務化前のものが殆どであるが、義務化後のものでも約10%が求められる水準に届いていないことがわかった。そこで本頁では同センターが実施した試験結果について纏め、施工不良の危険性、また転倒防止策について詳報する。

径の小さいアンカーボルト多用

 本調査は、南海トラフ巨大地震への対策という将来の課題を見据えた検証として、徳島県を実証フィールドとし、17年8月~18年3月に亘って行われた。まず意識調査では、これまでの地震で貯湯タンクが倒れる被害があったことを「知らない」ユーザーが100件中69件にも上ることがわかった。さらに冒頭の通り、地震で倒れるおそれがあると思うか?という問いに対して「思わない」との回答が50%であり、ユーザーの危機意識は低い状況である。無論、メーカーは高い耐震性能を有するものを展開しており、製品への信頼もあってのことだろうが、これはあくまで施工水準が満たされていることが条件である。では、設置状況の実態はどうだったのか。電気温水器やエコキュートは東日本大震災での大量転倒を受け、13年4月に転倒防止対策に関する告示が改正されている。告示では本体を基礎に固定するアンカーボルトは、設置場所やタンク容量に応じて、径が12㎜以上のものを3本以上、10㎜径で4本以上使用することなどを定めているが、その実態は56件もの数が基準を満たしておらず、このうち9件は転倒防止措置が義務化された後に設置されたものであった。さらに、アンカーボルトを使用せず置いてあるだけという事例も6件あったという。また告示に基づく径・本数を使用しているものの、芯棒が根本まで打ち込まれていないケースも見受けられた。

芯棒の打ち込み不足も危険、大きな〝浮き〟が発生

 振動試験では、熊本地震(本震)で観測された地震波を再現し、タンク容量460L、耐震クラスAの製品を使用して、アンカーボルトの有無や太さの違いによる影響、芯棒の打ち込み不足を想定した実験を行った。結果は案の定、細いアンカーボルトほど固定点に浮きが生じ、置いただけのものは震度5強相当で移動、震度6弱で転倒した。12㎜径で固定したものは震度6強でも移動・転倒はなかった。細いアンカーボルトは転倒こそなかったが「実際に発生する地震では余震が続くことが多く、繰り返しの揺れによって少しずつ抜けてしまう可能性が想定される」と指摘した。また芯棒の打ち込み不足については、12㎜径のものでも震度6強で大きな浮きが見られ、10㎜径ではアンカーボルトが抜け、転倒するという結果となった。
 今回の調査を経て、同センターは「細いアンカーボルトが用いられることのないよう、製品カタログや工事説明書に明記するとともに設置事業者への周知徹底を要望する」としたが、ある施工業者は「交換の際には既存の基礎を利用するが、基礎の厚みや水とコンクリート配合比によっては12㎜径を使うと貫通したり、割れてしまう恐れがある。即日交換を希望される場合や費用面から基礎の打ち直しを望まないお客様には了承を得て径の小さいアンカーボルトを使うこともある」と現場の実情を吐露する。様々な事情が想定され、施工不備全てを糾弾することはできないが、無いに越したことはない。同センターは点検制度の検討など業界に向け意見を述べている。

※本記事は給湯機専門誌 『Qtopia(キュートピア)』 No.2に掲載したものより抜粋しています。

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