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太陽光エネルギー学会:自然災害、労働環境、公害など 主力電源化に向け議論すべき『安全性』とは?

 業界屈指の学術団体である日本太陽エネルギー学会(須永修通会長、略称:JSES)は2月21日、「太陽光発電設備の安全性に関するランダムトーク」と題したセミナーを開催。関係者100名が会場に駆けつけ、主力電源化に向け議論されるべき太陽光発電の安全性について知見を共有した。

 開会にあたり学会理事で太陽光発電部会長を務める産業技術総合研究所太陽光発電研究センターの加藤上級主任研究員は「昨今、西日本豪雨、台風、環境破壊、火災事故などに関連する太陽光のトピックが目立つ。再エネが主力電源となるには安心して使える技術であることが重要。不得意とする面を直視し議論を深めていきたい」と挨拶した。今回のセミナーは『安全性』がキーワード。水害、雷害、強風といった自然災害に加え労働環境、景観問題といった多角的な事例が豊富に紹介された。

 西日本豪雨での土砂崩れや洪水、台風21号での高潮における電気火災と太陽光発電の関係を調べた消防研究センターの田村氏は「パワコンや接続箱が浸水すると直流高電圧がかかる端子部で絶縁劣化、短絡などが生じ火災が発生する事例が目立った」と報告。落雷被害を受けたメガソーラーの事例から九州電気管理技術者協会の金丸氏は「雷害に合わないためには(竣工時に)LA(避雷器)や各所に応じたSPDの設置を確認することに加えて、各接地が等電位ボンディングとなっているかを確認することが重要」「雷により直流過電流でPCS停止等が発生した場合、復旧だけで安心せずシステム全体を再点検」「点検は接続箱にてアレイ毎の開放電圧と直流電流の差異に着目」「ブロッキングダイオードの損傷度合いによっては遅れて被害が出ることもある」といった対策例を紹介した。

 耐風設計の観点からは奥地建産の高森氏が各地で生じた強風被害の実例を紹介した上で「接合部の設計不足、杭の支持力不足といった構造計算上問題があるケースが多い」と要因を指摘。「規格で定められた設計基準をクリアするだけでなく地域環境、設置形態に対応した設計を施す必要がある」と強調した。しかしながら、既に在る太陽光発電システムはどうすべきなのか。産業用をメインにO&M事業を手がけるミライト・テクノロジーズの今井氏は「太陽光発電は人為的な制御が困難であり常に活線状態にあると考えるのが妥当。簡単に言えば『止めたくても、止められない』のが現状。安定稼働には確実な予防保全の考え方が不可欠であることから定期・継続的な保守点検が必要」と展開した。

 「安全」という観点は何も発電所だけでなない。「作業者にとっても」と訴えたのは島電気商会の北川氏である。「太陽光発電のメンテ機運が高まってはいるが点検作業には墜落、転落、感電、熱傷等のリスクが付きまとう。対策にコストは掛かるが労働災害よりも安全対策費用の方がコストは遥かに安くつく。作業者は日頃の訓練も然ることながら道具の選び方まで命を守る行動を」と呼びかけた。そのほか、北杜市太陽光発電を考える市民ネットワークの弘田氏は「低圧分割・転売案件等による乱開発が後を絶たない。環境に優しいはずの太陽光発電が自然環境や景観の破壊を招き迷惑施設、公害になりつつある」との声を紹介。最後に太陽光発電部会の加藤部会長は今回発表された『消費者事故調査報告』における通読上の注意として「通報されていない事案を含めれば事故データは氷山の一角」「事故は施工不良を誘発する設計不良という問題もある」「そもそも電気の流れる太陽電池が建築基準法で屋根材として不燃認定を取得できていいのか」といった見解を述べた。ゼロエネ・脱炭素化といった普及・拡大ムードではあるが、並行して考えたい『安全』という視点。業界人にとって耳は痛いが傾聴すべき議論は続く。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.50に掲載したものより抜粋しています。

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