新時代の幕開け―。太陽光発電協会(代表理事:平野敦彦ソーラーフロンティア代表取締役社長、略称:JPEA)は11月14・15日の2日間、東京都台東区のヒューリックホールにて『第35回太陽光発電シンポジウム』を開催。参列者は主力電源化や自家消費社会の実現に向けた活発な議論に想いを一にした。
産官学からエール太陽光の役割に期待
開会冒頭、挨拶に立った平野代表理事は「太陽光発電を取り巻く環境は目まぐるしく発展・変化してきた。『第5次エネルギー基本計画』の中で再エネが主力電源として初めて位置づけられたことは勇気づけられることであり、柱となるべく責任の重さを感じる。課題や乗り越えなければならない壁は多いがその期待が揺らいでいる訳ではない。今まさにFITからの脱却、自家消費社会へと向かう契機である。関連する皆様と協働の和を広げ業界発展に努めたい」との旨を呼びかけた。
基調講演では、経済産業省の松山新エネ部長が「国民負担、未可動案件、廃棄といった諸問題に厳しい目が注がれている。一方で今年は地震に台風と災害が相次ぎBCPという観点から電力供給だけではない太陽光の意義や価値が再認識された。地域との共生やコスト競争力を高め、信頼ある、選ばれる電源へ。太陽光が支える社会を産官学民一丸となって造っていきたい」と熱く語る。環境省の相澤室長は「地球温暖化はIPCCの報告書にあるよう紛れもない事実であり対策が急がれる。脱炭素化、地域循環共生圏の実現に向け政策面からサポートしていく」とエールを送った。
気鋭の論客は世界の大転換を的確に解説。東京大学の髙村教授はパリ協定に至るまでの温暖化交渉やその意義、各国の政策動向を指摘した上で「気候変動リスクへの対処がビジネスに於いて主流になってくる。私達は再エネに先導された電力市場の変革の中におり、この流れは簡単に止まることはない」と強調し長期戦略を打ち立てることの重要性、そこで中心となる太陽光の役割に期待感を示した。遅れることなかれ。拡大する脱炭素市場において金融機関からの投資も加速しているという。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の吉高氏はESG(環境・社会・ガバナンス)投資は一過性のブームではなく、世界最大の運用資産を誇る我が国のGPIFといった機関投資家も同指標を参照し始めている現状を紹介。「世界的に気候変動はリーマンショック並みのリスク」と認識されていることにも言及した上で「ゼロ・エミッションというビジネスチャンスに対し、どのような展開を描いているのかという説明が経営者には求められている」と話していた。
その後のセッションでは、ZEH推進協議会の顧問でもある東京理科大学の植田准教授がモデレーターを務め、みやまスマートエネルギー、早稲田大学、湘南電力による地域創生のモデルケースを紹介。エネルギーを基盤とした地域活性化・課題解消に貢献する太陽光の可能性を討論した。
どうなる!?自家消費経済性から付加価値へ
最盛期に比べ3分の1に落ち込んでしまった住宅太陽光市場は如何に活性化が図られるのか。将又、2019年問題への対策は。みんな電力の真野部長を司会に積水化学工業、ソーラーパートナーズ、エナリスの4社が行ったパネルディスカッションが注目を集めた。年間1万件以上の導入相談を受け業界有数の専門サイトを運営するソーラーパートナーズの中嶋社長は独自アンケート調査から「太陽光はポジティブに捉えられる一方で、初期投資が高く投資回収できないと考えている人も多い」と指摘。イノベーター理論を用い「設置可能な戸建住宅を母数とした場合、普及率は16%に近づいてきている。アーリーマジョリティに客層が変わり、これまでとは異なるマーケティング戦略が求められる」と分析した上で「経済性、防災的観点など業界全体で太陽光発電の魅力を伝えていく必要がある」と提言した。
自家消費拡大に向けては、積水化学工業住宅カンパニーの塩グループ長が同社の実邸調査から考察。「太陽光に蓄電池とV2Hを併用することで自家消費率を70~80%程度にまで高めることはできるが、完全自家消費は困難。売電は必ず発生する。また現時点で蓄電設備の初期コストは高いが発電量や出力制御といった変動リスク等を想定すれば導入価値はある」と説明した。
この余剰分等に関してエナリスの塚本本部長は「電力量kWhという一括りにされている取引は容量、調整、送電効率化、環境価値と大きく5つに細分化される時代が来る。我々はそれらを流通させるサービスプロバイダーを目指している。設置者へメリットが還元できるような仕組みを構築することで、リアルな世界で活躍される事業者の皆さんをバックアップしていきたい」と話していた。十二分にある太陽光の価値をどのように伝えていけるか。業界の新たなステップアップに各界からのアイデアが溢れかえっていた。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.47に掲載したものより抜粋しています。
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