三菱電機(杉山武史社長)は、パネルやパワコンなど自社ブランド太陽光発電システムの製造・販売を2020年3月下旬を目途に終了することを11月15日付で発表した。「国内の太陽光パネル市場には多数の海外メーカーも参入し、主に業務用において競争が激化。これまで当社が強みとしてきた製品の長期信頼性や狭小屋根への設置性などに対する市場評価が相対的に低下した」ことを撤退理由に挙げる。シャープ、パナソニック、京セラとともに、国内ビッグ4と呼ばれ、96年に住宅太陽光発電システム市場に参入し、実に20年以上もの間、我が国の太陽光発電市場の活性化に大きく貢献してきた同社がメーカーポジションから降りる選択を取ったことは、商社や販売店を含め業界内で大きな話題となっている。
国内市場をけん引してきたビッグ4とて、近年では事業や生産体制の見直しが本格化しているのが現状だ。シャープは昨年秋頃から国内生産を終了、中国への工場移管を完了した。今年5月にはパナソニックが中国メーカーと太陽光事業で協業することを発表している。低迷する国内太陽光パネル市場の中、当然ながら製品品質は保持しつつ、コスト競争力や販売・アフターメンテナンスなど、メーカーは電卓を叩きつつリソースや施設確保に日夜頭を悩ませている。「太陽光パネルメーカーは国内に10社もある。これは一般の設備機器業界に比べて多すぎる」こうも囁かれてきた。海外大手パネルメーカーの価格攻勢を受けながらも、生産販売を続ける国内メーカーだが、飽和したメーカー数に反して縮小する市況下で、収益は極限状態の中であり、その事業性見直しを余儀なくされていた結果とみられる。
ただ、懸念されるのが、三菱電機の保有するパネル利用者、所謂ストックユーザーの数だ。本誌調べでは、09年までの総出荷において同社シェアは10%であることから、今年だけでも卒FITとなるユーザーは5万件以上、2024年まで見れば15万件以上と推測できる。このストックユーザーに対して、どうアプローチしていくのか。手厚い保証を売りにしてきた同社だけに、太陽光発電システムのパネル出力保証は25年、パワコンは15年、架台は10年と充実している。これは決して短い期間ではない。三菱電機というブランドネームは、国民の中で圧倒的な信頼を得ている。その分、あらゆる保証や体制作りには真摯に向き合う必要がある。余力があ今だからこそ取った撤退表明なのであろうと推察できる。
なお、BtoBにおいてもOEM品として提供している他社パネルメーカー向けのパワコン生産の継続可否も心配されたが、パワコン供給を受ける企業担当者に訊くと「OEMパワコンの製造は来春以降も継続すると聞いている」というから、対企業へのフォローは安心できそうだ。
ZEHなどエネルギー制御に本腰
一方で明るい方向も示す。自社製太陽光発電システムの製造は終了するも「再生可能エネルギーを有効活用するZEH、 ZEB、V2Xなどの製品・システム・サービスに注力する」という。さらに「低炭素社会の実現に向けた統合ソリューション提案を強化する」としているため、HEMSやV2Hを通じたエネマネ機器との連携などは、一層注力していくものと見られる。ここで言うソリューション提案材料となる太陽光発電システムについては「京セラ製」と名言しパートナー連携を開始するとした。現状、「守秘義務の関係があり、広報発表以上のことは申し上げられない」との回答であったが、今後の両社の動きにも注目が集まる。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.59に掲載したものより抜粋しています。
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