其れは一部の業界人を除き既に忘却された世界観が現実のものになりつつある瞬間だった。当時を知る開発者は、黄昏の中にある記憶を呼び起こし、こう語った事がある。
―太陽光が上る日中にしか発電できない。変動的な電源である、余剰が生じるといったことは判りきっていた。そして、調整役を組み込んだものが目指すべきカタチであると誰もが考えていた。だが、コストの壁を超えられず、やむなく諦めざるを得なかった。
単体ですら高額であった時代。地球規模の課題を解決するため、先行して一方を普及させることを優先した。最善の策として考えられたのが、電力系統を一つの大きな貯蔵地として見立てるという仕組み。それが現在の姿だ。まだ、未完成なシステムなのである―。

時を経て辿り着いた新境地。東日本大震災を契機に各社が相次ぎ開発に着手。翌年7月31日、ニチコンがJET認証第1号機を出荷することで幕を開けた。偶然にも太陽光発電が住宅に初めて搭載された記念すべき日からちょうど20年目にあたる、晴天の中のひと時であった。
自家消費時代の到来と言ってしまえば味気ない。それは先人達が組み込んでいた謂わば思想的到達点だったのである。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.45に掲載したものより抜粋しています。
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