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【歴史館】昭和の名機 黒電話

コラム 2019/01/19 15:00

 たまたま通り掛かりにふらりと立ち寄った先で、懐かしいフォルムをした黒い物体が何かを訴えかけるよう視界に飛び込んできた―。

 もはや彼は授業で使い方を習うまでになってしまったらしい。「ダイヤルを廻す」という言葉も理解されない時代になってきているのかもしれない。今風に言えば、当時最先端のジリジリしたフリック入力で遠方へと想いを届けた。「あれ、間違ったかな?」なんてジタバタしては重い受話器を下ろす。一定以上の年齢の方なら誰しも経験があるだろう。

 将又、繋がったは良いが「〇〇さん居ますか?」という瞬間は独特の緊張感が漂うものだった。そういえば桁数も1つ少なかったような。遠方の親戚や友人の番号もいくつかは諳んじられた。

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 ボタンに変わりコードレスへ。通信技術の進化はリアルタイムでの繋がりにコミュニケーションのカタチを一掃した。もはや固定は宅内に存在する事すら珍しく絶滅危惧種と言えなくもない。

 思わずシャッターを切った意味を考えた。どうも哀愁の一言だけでは片付けられない、人間という存在を見つめ直す報せだったようでならなかった。即時性ではない不便でも貴重な体験。縛られることのない自由さが嘗てあったのではなかったか。昭和の名機は静かに、ひっそりと時代の流れに問いを投げかけている様だった。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.48に掲載したものより抜粋しています。

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