関西一円を商域に年間450棟ペースで供給する大手ビルダーの泉北ホーム(山本隆社長)は、長期優良住宅を標準とし、ZEH率も23%と積極的に高性能住宅を提案している。そんな同社が独自の強みとして展開しているコンセプトが『フル装備の家』である。これは設備・性能・構造など住まいに欠かせない要素を〝追加費用なし〟でパッケージングしたもの。太陽光発電をはじめ、LED照明や高機能システムバス・トイレ、断熱材・窓など様々な製品を標準装備化、設備によっては複数メーカーの中から好きな商品を選べるものとなっている。同コンセプトを活用した『フル装備の家(オール電化)』は、省エネ性能や健康・快適性に優れるだけでなく、普及モデルとなる価格帯を実現したことが評価され、ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2018で、栄えある大賞(5-6地域)を受賞した。
大量仕入・一貫施工でコスト低減圧縮分を施主に還元
泉北高速鉄道・泉ヶ丘駅から車で7分ほど走らせた住宅街にZEHが立ち並ぶ分譲区画がある。泉北ホームが建築した『深阪の家』だ。同社は18年度に経産省が実施した分譲ZEH実証事業に参画、19年2月、同地に6棟のZEHを建設した。敷地面積は110~150㎡、角地など立地条件に応じて価格は3,500~4,000万円で販売しており、うち3棟は完工前に売約したという。経営企画室の小谷成宏氏は「周囲の住宅より1,000万円程度高い水準になるが、お客様にはランニングコストで回収できることや健康・快適などZEHのメリットについて理解頂いた」と話す。
同社の住まい提案において、特 筆すべきは冒頭で触れた『フル装備の家』。長期優良住宅、太陽光発電やLEDなどの省エネ機器を標準化するだけでなく、オーダーカーテンや畳、収納、キッチンデザイン、2階建て・3階建ての選択など多岐に亘る要素を追加費用なしで選べる、文字通り“フル装備の家”を提供しているのである。分譲建売ではあるが『深阪の家』の設備も同コンセプトに則り、様々な機器の採用や住空間デザインを演出している。
山本英貴取締役副社長は「性能向上やこれら設備の付帯は建築費を上乗せすれば実現できること。それは当社ならではの強みとならない。そこで価格据え置きとした上で、標準スペックの向上を図った。施主様は手頃な値段で高品質な住まいを手に入れられる」と自信を覗かせる。言わずもがな、価格を抑えることができれば、その分、高性能化のハードルは下がる。ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2018では、特にこの点が評価され、普及に期待できる高性能住宅として、大賞を獲得した。
様々な要素を価格据置きで標準化している同社であるが、無論、住宅販売もビジネス。利益を確保しなければ事業を継続できない。如何にして同コンセプトを実現しているのか。これについては「自社一貫施工や設備・建材の大量仕入れ等によって、総工費を抑えている。もちろんメーカーさんのご協力もあってのこと。お陰様で色々な要素を標準仕様化した今でも利益率は変わっていない」とし、続けて「価格を抑えた分を当社の利益として得ることはできるが、常にお施主様に還元することを考えている。より良い住まいづくりに貢献できる設備や要素があれば、標準装備のラインナップに加えている。定期的ではないが、均せば3ヶ月に1度のペースで標準スペックが上がっている」と拘りを語る。
まさに日々進化する同社の住まい提案。山本副社長は「お施主様に性能への視点が芽生えてきたと感じている。もちろん、このニーズはしっかりと捉えていくが、性能だけを目的とせず、健康や快適、安心・安全、またデザインなど暮らしの土台となる要素にもしっかりと目を向け、困り事を解消できる住まいを提案していく」と方向性を語る。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.54に掲載したものより抜粋しています。
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