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【特集】世界を変える!?スーパーシティ構想始動

 点が線となり面となる。だが、その全体像はまだ朧げにしか見えていない。想像してみてほしい。誰もがワクワクするような、映画やアニメの中にあるような世界観。行きたいところへは自動で自由に。買いたいものは手ぶらで手軽に。創造的な生き方こそが仕事にすらなり得るかもしれない。それがもし、我々が生きる時代で実現するのなら?今夏、G20大阪サミットにあわせ世界初の国際フォーラムが開催された。前後して国土交通省、経済産業省もスマート業界に関連するシンポジウムや団体設立を相次ぎ展開。来たる未来都市の構築を宣言した。背景にあるのは内閣府主導のスーパーシティ構想だが、一体何が起きようとしているのか。

2030年頃の未来都市 「スーパーシティ」構想とは?

 政府が謳う「スーパーシティ」を意訳的に捉えると「ス・ゴ・イ・マ・チ」だが、突如そう言われても全く想像が付かない。一般メディアでは殆ど扱われてこなかったことから、よほど政策に長けたヒト以外は新語に近い感覚・印象を持つことだろう。これまで唱えられてきた“スマートシティ”とも一体何が違うのか。
 同構想が立ち上がったのは今から凡そ1年前の18年10月。我が国の成長戦略や構造改革の加速、産業競争力強化等を目的とした官民対話の場「未来投資会議」(議長:安倍晋三内閣総理大臣)の中で提言されたのが始まりである。そこから「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会(座長:竹中平蔵東洋大学教授・慶應義塾大学名誉教授)が内閣府特命担当大臣(地方創生)の下に設置され全5回の検討を経て『最終報告』(19年2月)が作成された。やや足早感はあるが、その後に閣議決定された『統合イノベーション戦略2019』(19年6月)の中でも用語は異なるが「Society 5.0の社会実装(スマートシティの実現)」を第一に掲げていることから地域社会を変革し課題解決に乗り出そうとする意気込みがひしひしと感じられる。
 その方向性について報告書には「最先端技術を活用し、第四次産業革命後に、国民が住みたいと思う、より良い未来社会を包括的に先行実現するショーケースを目指す」との目標を明記。議事録の内容から座標軸を平たく纏めるとAI・IoT・ビッグデータを活用した最先端都市を構築。超スマート社会の実現だけでなくSDGsをも達成するという壮大なビジョンを語っている。

個別テーマから複合領域をカバー、スマートシティの進化版
 
 世界に先駆けて未来都市を完成させることで、技術大国としてイニシアチブをとっていきたいという狙いもある。GAFAやアリババに負けてはいられない。また関連技術の実装が世界的に進みつつある。例えば、中国・杭州市では道路交通情報をAIで分析し交通取締や渋滞を緩和、カナダ・トロント郊外においてはヒト・モノの動きをセンサーで把握し街をコントロール、アラブ首長国連邦・ドバイでは都市全体をICT化し官民問わず汎ゆる情報をネット上で活用する、といった具合だ。無論、日本においても2000年代から総務省、経済産業省、国土交通省が中心となりエネルギーや交通という個別実証が進められてきた。だが、一つのデータ基盤で連携させ、実際の暮らしの上に実装することを目的とした取組は、国際的にもまだ例は少ないという。そこでスーパーシティでは「移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防災、防犯・安全」といった「生活全般」にまたがる10要素のうち少なくとも5要素以上をカバーしたものを「具体像」としている。謂わば、個別から複合へと進化させた“スマートシティ”を“スーパー”と称した訳だ。
 ただ、従来、この手の構想は各省庁が個別要素を検討することで全体像がバラバラになりがちであり、成功事例も僅か。一方、今回は、まず自治体・事業者・内閣府が住民合意のもと計画を固め各省庁に検討案を落とし込みスピーディに実現までもっていく方針である。「大胆な」規制改革を進め地方創生を図る成長戦略の目玉として既に法案化もされている。肝いり政策である。各省庁の役割は図表の通り。制度・法整備などの大枠を内閣府が、実際の“現場”は経済産業省、国土交通省、総務省等が担う。今夏、関連する推進団体が矢継ぎ早に立ち上がっているが、つまるところ、同構想は日本版MaaS、電動化といった要素技術を集約する青写真といえるだろう。各団体の連携は主人公となる自治体を中核に緩やかに集約していくとみられる。

世界初の国際フォーラムも開催 @G20大阪サミットで

 街を静まらせたG20大阪サミットに合わせる形で6月29日、関連業界にとって重要なイベントが開催されていた。その名も『スーパーシティ・スマートシティフォーラム2019』。残念ながら殆ど報道されていないがスマートシティ関連として世界初の国際会議であり米国・欧州・中国・インドといった各国の政策担当者等が講演。終日、次代の都市づくりが議論された。陣頭指揮を執る片山さつき内閣府特命担当大臣は「日本はスマートに溢れている。その技術を駆使し、スーパースマートな街や都市を実現することで人間が人間らしく尊厳をもって暮らせる世界を目指す」との意気込みを開会冒頭に語り、安倍内閣総理大臣は次のようなメッセージで同構想にかける想いを会場に届けた。
 「世界は今、第四次産業革命の真っ只中にある。令和という新しい時代に人口減少や超高齢化社会など直面する様々な課題を克服しピンチをチャンスに変えていく大きなパラダイムシフトのカギとなるのがSociety5.0の実現。国際的なデータ流通のルールや枠組みの構築など世界のパラダイムシフトを国際連携のもと、しっかりと支えていかなければならない」。
 果たして超絶便利な街や地域は誕生するのか。注目の政策が静かに動き出していることは確かである。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.55に掲載したものより抜粋しています。

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