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「省エネ基準適合否だけでなく、 レジリエンスの説明義務の考えも」

 人々の暮らしにおいて、災害への備えは大きなテーマの一つである。水や食料の備蓄など様々な備えがあるが、家づくりの段階で工夫できることも多くあり、特に創・蓄・省エネ設備機器の活用等が防災・減災強化の鍵を握っている。平時は健康で快適に過ごし、万が一災害にあっても、影響が小さく、正常な状態に素早く回復できる、そんな災害に強い住宅の重要性について、芝浦工業大学建築学部建築学科の秋元孝之教授に訊いてみた。

“レジリエンス”という言葉はいつから?

 外部から受ける力や影響に対する「しぶとさ、強靭さ、回復力」のことをレジリエンスと呼んでいるが、住宅のレジリエンスを強化する機運が高まったのは、2011年の東日本大震災がきっかけとなっている。13年には国土強靭化基本法が施行され、以降、国内の国土強靭化への取り組みが本格化。14年には、産・学・官・民のオールジャパンでのレジリエンス立国構築を目的として、レジリエンスジャパン推進協議会が設立されるなど、普及・啓発が進められてきた。自身も、同協議会による『ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)』の審査委員としての経験や、大学生によるゼロエネ建築の祭典『エネマネハウス』において、蓄電池やヒートポンプ給湯機を活用した自立的なエネルギー運用をテーマとするなど、少なからず住宅のレジリエンスについて触れてきた経緯がある。

年々、住宅のレジリエンス強化への関心は高まっている?

 近年の災害に目を向けると、東日本大震災以降、熊本や北海道などの地震をはじめ、豪雨、大型台風などの自然災害に見舞われ、今後は南海トラフ地震や首都直下型地震発生の可能性が指摘されている。より効果的な防災・減災対策が求められ、年々、住宅のレジリエンス強化への関心は高まりつつある。建築環境・省エネルギー機構では、現在の住まい、計画中の住まいのレジリエンスをチェックするツールを開発し、平常時の免疫力、災害発生時の土壇場力、災害後のサバイバル力の3つの段階におけるレジリエンス度を確認できるようにしている。リスクの把握や必要な備えに取り組むきっかけになるわけだが、レジリエンスを強化する上でキーワードとなるのは、平時と有事の両方における「健康・快適・安全・安心」である。そして、これを実現するのが創・蓄・省エネ設備機器等である。太陽光発電があれば、自立運転に切り替えることで発電した電気を利用することができ、蓄電池やEV・V2Hを併設していれば、発電した電気を蓄えて夜間に利用できる。またエコキュートの湯水は、断水した際の生活用水として活用可能なほか、断熱性を高めることで、寒い時期での災害時、暖房器具が使えない状態でも室温低下を最小限に抑え、寒さをしのぐこともできる。前提として、確かな耐震強度を確保した構造躯体であることも当然重要である。

レジリエンス化は省エネ化とも関係が深い?

 断熱性能を高めたり、創・蓄・省エネ設備機器等を導入することにより住宅のレジリエンス強化が図られるわけだが、同時に住宅の省エネ化にもつながる。必然的に省エネも実現できるのだ。住宅の省エネ化に関しては、今後、省エネ基準適合否の説明義務化の制度が創設される。そうした中、建築主への説明の際に、省エネのことはもちろん、災害時のレジリエンスについても正しく説明できる力を身に着けておく必要があるのではないかと考える。また、住宅のレジリエンス強化は高度な設計技術などを用いなければ出来ないというわけではない。雨水タンクの設置や、階段下を備蓄倉庫にするなど簡単なことからも始められる。省エネ化とともに常にレジリエンスの視点も意識したいところである。

※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.50に掲載したものより抜粋しています。

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