8月末、19年度予算の概算要求が出揃った。省エネ住宅を積極的に推進する経済産業省・国土交通省・環境省の3省は、次年度もZEHやZEH ‐Mに関する事業は継続する方向である。この他、事業として目立つのが、ブロックチェーン技術を活用した環境価値の自由売買など通信ネットワークに関する補助である。EVを含めた各種エネルギー機器のIoT化を駆使したVPPの実証事業も継続する予定で、情報技術に関する補助が豊富に用意されそうだ。
ZEH補助金や地域型住宅グリーン化事業など住宅の省エネ化に関する補助事業は基本的に今年度と同様となりそうだが、異なる点もある。環境省が実施するZEH支援事業において、追加補助の項目に『省エネ浄化槽』が追加されたことである。浄化槽は生活排水に含有する汚濁物質量(BOD)を除去するもので、下水道が敷設されていない地域で家を建てる場合導入が義務付けられている。同製品においても水中ポンプや送風(ブロワ)設備等を改良した高効率タイプが開発されており、普及拡大を図るため補助枠を設けた。従来の家庭向け(5人分)の製品価格は100万円程度で、高効率タイプとなると家庭用でおよそ10万円増、集合住宅向けの中型も同30万円増となることから、それぞれ従来機との差額分を補助額として設定している。
環境省地球温暖化対策事業室の近藤博美室長補佐は「これから下水道を拡げていくよりも浄化槽を導入する方が効率的であること、またZEHでは様々な高性能設備を採用される中、浄化槽のみ効率の悪いものが導入されることに違和感も生じるため、今回、ZEH補助金に追加する方向となった。ZEHのエネルギー計算には組み込まれない」と経緯を話す。
他方、情報技術に対する補助では、環境省が行動変容を促す情報発信の実証事業や通信ネットワークの負荷低減、セキュリティ強化など通信技術の開発に対し支援を行う。同省によれば、欧米では既に人間の行動科学等の理論に基づくナッジ(そっと後押しする等の意)により、情報発信等を通じて国民の行動変容を直接促進する取組や、社会システムなど環境の変化を通じて間接的に促進する取組が政府主導で実施されており、CO2削減に向けた新たな政策手法として着目されているという。
そこで本事業では、電力やガス、燃料の使用量などCO2排出に関わるデータの収集・解析・パーソナライズ化し、日本型の行動変容モデルを構築、21年度までに5地域程度で展開することを目指す。一方、間接的な促進においては、自家消費される再エネ電力等にCO2削減価値を創出し、環境配慮が適正に評価される仕組みを作る。ブロックチェーンを活用しより利用しやすいシステムを整える。
19年度ではZEHという住宅単体の性能向上を支援しつつ、次のステップとしてエネルギーを相互融通する仕組みづくりに乗り出すなど、まさにスマートハウス・シティの領域に歩を進める。
※本記事は次代住宅専門誌 『月刊スマートハウス』 No.44に掲載したものより抜粋しています。
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