SMART HOUSE READERS

自分に適した住まいをHEMSが支援 「見える化、最適制御からアップデートできる家へ」

 ZEHで利用される住宅設備や機器はそれぞれ高い省エネ性能を有する。HEMSはそんな設備・機器を効率的に動作させ、より省エネを図る司令塔的存在であるが、高度情報化社会においてHEMSの実力は、まだまだこんなものではない。家庭間のエネルギーの相互融通、さらには快適・利便性や健康・医療、福祉といった各種サービスとの連携窓口としての活躍も期待されている。そんなHEMSの現在地点と将来の姿について、日本電機工業会(柵山正樹会長、JEMA)のHEMS専門委員会 北川晃一委員長に訊いてみた。

はじめにHEMSの 役割について教えてください。

 これまでHEMSはエネルギーの「見える化」が主な役割でした。エネルギーの使用状況を数値で見せることで〝気付き〟による省エネ行動の促進、また省エネ効果の検証を行えるものとして展開されてきました。しかし「見える化」した数値を見るのは殆どが最初だけ。さらにメーカー間の接続性の課題もあり、あくまでZEHの要件であるために導入しているという感が否めなかったことでしょう。エネマネの司令塔として、中核をなすべきHEMSですが、その存在感を発揮できていない状態にみられているのが現状です。そんな中、 ZEH+という新しいZEHシリーズが打ち出されました。ZEH+では接続性を持って各種設備を制御可能にするという考え方のもと、ECHO-NET Lite AIFに準拠する設備・機器を活用した〝高度エネマネ〟という要件が組み込まれています。AIFにより、課題であった接続性が担保されました。様々なメーカーが混在しても同一のコマンドで制御できる様になったのです。

将来的に何が出来るように なるのですか?

 端的に纏めると住まい方の幅を拡げる可能性を秘めているということになります。既にスマートスピーカーを通じた音声制御が進められていますが、AIFによって接続性を担保した上で制御できるのは現在、HEMSと太陽光発電や蓄電池、スマートメーターなど特にエネマネの効果が大きい重点8機器を接続した場合に限られます。これが将来的にヘルスケアや快適生活を支援するサービス等とも連携する。組み合わせは無限大です。正に夢のような話ですが、 AIFにより接続性が担保されることによって、これまで個社で構築していたサービスを他社製品も含めて拡張することができます。つまり、新たに生み出されたサービスはHEMSを窓口に、各種機器と連携することになる。ECHONET Liteは後付のアダプターを装着することによって後からでも各種機器の通信環境を整えることができるため、利用したいサービスに応じて大きな設備投資をする可能性も低くなる。時代や自らのニーズに合わせて住まい方をアップデートできるようになるわけです。

個人レベルだけでなく 社会インフラ構築にも 繋げられそうですね。

 更に議論を深めZEH+の様な通信環境の整った住宅が普及すれば、どんな未来が描けるのかというと、例えば、国を挙げて実証が進められている次世代インフラシステムVPP(バーチャル・パワー・プラント)の実現に近づきます。通常、電力の需給調整は供給側、つまり電力会社が火力発電など各電源の出力を調節することでバランスを保っていますが、VPPでは蓄電池やEVなど調整力を持つ機器を、アグリゲーターと呼ばれる監理者が上手く制御することで、需要側でも需給調整を行えるようになります。ZEH+を皮切りにAIFを核とした通信環境が整うことで社会全体がステップアップしていくことにも繋がっていきます。とはいえ、ZEH+やAIFはスタートしたばかり。通信規格は難しい言葉が並ぶ。業界団体としては、ユーザーが享受できる便益をわかりやすく発信し、まずはこういった考え方を知ってもらうところから始めていきたいと考えています。また今後、AIF認証の体制をセキュリティーや福祉機器などにも拡大すれば、いよいよ真のスマートハウスの世界が見えてくることでしょう。

※本記事は月刊スマートハウス別冊 『ZEH MASTER 2018』 に掲載したものより抜粋しています。

スマートハウス_書籍紹介バナー
Cookie を許可すると、このサイトでのエクスペリエンスが向上します。