市場の進捗は如何に。本頁では『17年度実績報告』からプレイヤーの現状や普及動向を探る。本誌独自推計では対前年度比2割増の約4万棟と数字の上では好調に推移するも普及シェアは全体で1割台と20年の過半数目標や30年の標準化へは程遠い実態が明らかとなった。正に「今こそ立ち上がれZEHビルダー」と言わずにはいられない。
登録数前年比1割増、供給カバー率は6割超
参画事業者の現状から分析してみる。今年で3年目となるZEHビルダー登録制度は初年度ほどの勢いは無くなったとはいえ前年比1割増の約7,000件と堅調に推移。今年に入ってもなお月間平均70件ペースで増加の一途を辿る。所在地域別には中部、関東、近畿に集中。都道府県別では静岡県、愛知県、福岡県が上位となっているが、新築住宅需要に応じて全国的な分布がみられる。登録種別でみると難所と言われる寒冷地〔A登録〕は僅か5%未満。大半が〔B登録〕だった。注文・建売・改修の分野別には〔新築注文住宅〕を選択する事業者が大半を占めている。新築住宅(約40万戸)に対するZEHビルダーの供給力を集計すると、17年4月の本誌集計時点ではおよそ半数だったものが、登録数増加により6割を超える状態となった。規模別には大手・中堅ハウスメーカー上位30社で6割以上のシェアを握る。一方で社数別には地域工務店・ビルダーが9割超と圧倒的多数を占めている。この布陣に変化はない。ちなみに分譲・建売を得意とするパワービルダー系の参画はまだみられないが、総合的には同制度の進捗は順調と言えそうだ。プレイヤー全体の認識だけは着実にゼッチ普及へ向かっている。
「報告なし」は1割、実現力は二極化
実績報告はどうだったか。ZEHビルダー登録や補助金活用には申告が義務付けられているが、報告を行った事業者は全社ではなく約8割で、その他は未報告だった。事業者が掲げた目標値に対する達成度は「報告無し」を除き、「目標を下回った」が7割超え、「過半数超」に関しては1割程度だった。「実績の有無」での実力差を図るため目標に対する平均値を比較した結果、「実績無し」を除いた場合の平均値は約30%と目標値を上回った。一方で「実績無し」を含むと達成度は半減する。「実績無し」が多数を占めるため平均値は当然下がる訳だが、つまるところ事業者間の実力差が二極化してきたと言える。主要住宅事業者の中でも「過半数」を達成したのは積水ハウス、一条工務店、積水化学工業の3社のみ。大手ですら差が出始めている。経済産業省が実施したアンケート調査によると目標未達の要因は「顧客対策よりも社内体制に依る割合が高い」とされる。一方、目標達成要因は「商品ラインナップへの採用が多く、HP/チラシ等による周知が効果的だった」と分析している。つまり、高断熱化や関連設備の施工や設計は「技術的に問題ない」とされることから、提案力や成功モデルを掴んだか否かで開きが生じたと言える。
ZEH普及動向前年度比2割増の4万棟規模到達
最後に普及状況を推計してみると、本誌調査結果では16年度比2割増の約4万棟規模にまで拡大した。未報告分を含めると5万棟前後で推移したとみられる。一般的にみた場合、伸び率は好調と言える状態だ。12年度からスタートした実験的な補助事業時代から比べれば飛躍的と評価できる。1棟であれ「実績」をつけた事業者も右肩上がりで2,000社を超えてきている。さらに実績値100%、言わばZEH専門ビルダーも200社超となっている。ただ、新築市場における普及シェアは1割に到達したに過ぎない。20年まで残す処あと正味2年。ロードマップに掲げる「過半数」や「標準化」の達成なるか。ここが正念場である。18年度から経済産業省、国土交通省、環境省の3省合同による普及支援が始まった。ZEHフォローアップ委員会でも課題の洗い出しを行うなど対策が練られ、建産協、ZEH協、JBNなどの各団体や製造から流通まであらゆる業界全体でのバックアップ体制も整ってきた。この意味で、今年度のさらなる拡大には期待が掛かる。
全国401社、5つ星ビルダー登場で市場活性なるか
牽引材料となるべく今春より新たな取組が始まった。『5つ星ビルダー制度』である。これは先導的な取組を進める登録事業者を国が評価することで普及を加速させるという狙いがある。認定されれば、謳い文句として「ZEHを建てるなら=国が認めた5つ星ビルダー」と公言することも可能となる。絶大な「お墨付き」だ。仮に競合が認定されれば驚異的な存在となるだろう。その要件は①前年度ZEH実績を報告、②実績や目標を自社HPのトップ等に掲載、③ZEHシリーズの建築実績有り、④前年度目標を達成または過半数超え、⑤実績報告時にZEH仕様分布を報告、または『BELS工務店』として登録という5つのポイントがある。現段階の評価項目は実績さえクリアできれば然程ハードルは高くない。18年は全国約7,000社中5%に相当する事業者が最高ランクを獲得した。既に過半数超えを実現している事業者も半数を占める。緩やかな動きで且つ中長期的には縮小すると言われる住宅市場。早期に勝ち組を創出し、政策目標達成の一石二鳥に向け仕掛けられた発破の威力に注目が集まる。
※本記事は月刊スマートハウス別冊 『ZEH MASTER 2018』 に掲載したものより抜粋しています。
- トップ
- 速報
- テーマ
- 製品・サービス
- 行政・団体
- 地域
- データ
- オピニオン
- 記事ジャンル